結論から申し上げると、遺影を処分すること自体に、法律上や宗教上の決まった禁止事項はありません。お住まいの自治体の分別ルールに従えば、ごみとして出すこともできます。

それでも「故人の顔が写った写真を、ほかのごみと一緒に出すのはつらい」と感じる方は少なくありません。この記事では、遺影の主な手放し方を5つご紹介し、それぞれの特徴と、選ぶときに確認しておきたいことをまとめます。

遺影は処分しても問題ない?

遺影は、葬儀の際に祭壇に飾るために用意された故人の写真です。四十九日や一周忌などの法要を終えたあと、仏間や部屋に飾り続けるご家庭もあれば、しまっておくご家庭、手放すご家庭もあります。どれが正しいという決まりはありません。

実際には、次のようなきっかけで遺影の行き先を考える方が多いようです。

  • 実家の片付けや遺品整理で、複数の遺影が出てきた
  • 引っ越しや住み替えで、大きな額を飾る場所がなくなった
  • 仏壇を処分する(仏壇じまい)ことになった
  • 代替わりで、飾る遺影を整理したい

なお、位牌や仏壇については「閉眼供養(魂抜き)」を行ってから手放すという考え方が広く知られています。遺影についてどう扱うかは、宗派や寺院によって考え方が異なります。菩提寺(お付き合いのあるお寺)がある場合は、一度相談しておくと安心です。

遺影の主な処分方法5選

遺影の手放し方は、大きく分けて次の5つです。ひとつに決める必要はなく、「データ化してから供養に出す」のように組み合わせる方もいます。

遺影の処分方法の比較
方法向いている方確認しておきたいこと
寺院に依頼菩提寺がある方、直接お願いしたい方受付の有無・お布施や費用・持参の要否
お焚き上げ火で清めて送り出したい方読経の有無・額縁の扱い・受付時期
郵送供養近くに頼めるお寺がない方、遠方の方供養の内容・料金・送り方・報告方法
自治体ルールで処分費用をかけずに自分で整理したい方分別区分(写真・額縁・ガラス)
データ化して整理写真を残しつつ物を減らしたい方データ化の方法・原本の扱い

寺院に供養を依頼する

菩提寺がある場合は、まず相談してみるのがよいでしょう。法要の機会にあわせて供養してもらえることもあります。お付き合いのあるお寺がない場合でも、写真や人形などの供養を受け付けている寺院はあります。

費用はお布施として納める形が多く、金額は寺院によって大きく異なります。持参が必要か、受付日が決まっているかもあわせて確認しましょう。

お焚き上げサービスを利用する

お焚き上げは、思いのこもった品を火で焚いて送り出す儀式です。寺院や神社のほか、民間の事業者も受付を行っています。読経などの供養を伴うかどうかは依頼先によって異なるため、内容を確認してから選ぶことが大切です。

詳しくは「遺影のお焚き上げとは?」で解説しています。

郵送供養サービスを利用する

写真を郵送で送り、寺院などで供養してもらう方法です。来寺の必要がなく、日程の調整もいらないため、遠方に住んでいる方や、近くに頼めるお寺がない方に選ばれています。

流れや送り方の注意点は「遺影の供養は郵送でもできる?」にまとめています。

自治体のルールに従って処分する

写真そのものは、多くの自治体で可燃ごみとして出せます。額縁は、木製・金属製・プラスチック製などの素材や大きさによって区分が変わり、ガラスは不燃ごみとして扱われることが一般的です。分別区分は自治体ごとに異なるため、お住まいの地域のごみ分別表で確認してください。具体的な手順は「遺影はそのまま捨ててもいい?」で解説しています。

ごみとして出す場合、白い紙や封筒に包んでから出すと、顔が見えず気持ちの面でも区切りをつけやすくなります。なお、ご自宅の庭などで写真を燃やすことは、法律や条例で制限されている野外焼却にあたるおそれがあるため避けましょう。

写真をデータ化してから整理する

「物は手放したいが、写真は残しておきたい」という場合は、データ化がおすすめです。家庭用のスキャナーやスマートフォンのスキャンアプリのほか、写真店のデータ化サービスを利用する方法もあります。

データがあれば、小さなサイズで焼き増しして手元に飾ったり、ご親族と共有したりできます。原本を手放す前に、データ化しておくと後悔が少なくなります。小さなサイズで作り直す方法は「遺影を小さくする方法」で紹介しています。

遺影を処分する前に確認したいこと

遺影は一度手放すと、元に戻すことはできません。次の点を確認しておくと安心です。

  • ご家族・ご親族の意向:ほかの方が引き取りたいと考えている場合もあります。ひと声かけておくと、後々の行き違いを防げます。
  • 写真のデータや控えがあるか:遺影はその方の写真の中でも特に良いものが選ばれていることが多く、ほかに同じ写真が残っていない場合があります。
  • 額縁の扱い:供養やお焚き上げでは、写真のみを受け付け、額縁やガラスは対象外とする依頼先が少なくありません。
  • 菩提寺への相談:お付き合いのあるお寺がある場合は、先に相談しておくと安心です。

遺影供養の費用について

遺影の供養にかかる費用は、依頼先や方法によって幅があります。寺院ではお布施として金額を決めていない場合もあり、事業者のサービスでは1点ごと、または箱ごとの料金を設定していることが多いようです。

費用を比べるときは、金額だけでなく、次の点もあわせて確認しましょう。

  • 読経などの供養が含まれているか、お焚き上げのみか
  • 送料や額縁の処分費など、別途かかる費用があるか
  • 供養の完了をどのように知らせてもらえるか(メール・証明書など)

方法ごとの料金の仕組みは「遺影の供養費用はいくら?」で詳しく比較しています。

郵送による遺影供養という選択肢

「自分でごみに出すのは気が引けるが、お寺を探して持っていくのは難しい」という方には、郵送での供養という方法があります。

おもいで供養便では、額縁から外したお写真をご郵送いただくだけで、想い結び供養協会がお預かりし、提携寺院にて僧侶の読経のもとご供養し、お焚き上げいたします。合同供養法要は毎月10日で、お品の到着からおおむね3〜4週間で完了し、メールでご報告します。料金はお写真1点3,000円(税込・送料別)です。

よくある質問

遺影を処分するとバチが当たりませんか?
遺影を手放すことで不幸が起きるといった考え方に、確かな根拠はありません。大切なのは、ご自身やご家族が納得できる方法で見送ることです。気持ちの区切りをつけたい場合に、供養を選ぶ方が多くいらっしゃいます。
処分するのに適した時期はありますか?
決まった時期はありません。四十九日や一周忌、三回忌などの法要を区切りにする方、遺品整理や引っ越しのタイミングで整理する方などさまざまです。
額縁ごと供養してもらえますか?
依頼先によって異なります。お焚き上げではガラスや金属が燃やせないため、写真のみを受け付けるところが多くあります。おもいで供養便でも、額縁・写真立てから外したお写真のみをお受けしています。

まとめ

遺影の処分方法には、寺院への依頼、お焚き上げ、郵送供養、自治体のルールに従った処分、データ化しての整理の5つがあります。どれを選んでも間違いではありません。

ご家族と相談し、残したい写真はデータ化したうえで、気持ちよく見送れる方法を選んでください。ご自身での処分に抵抗がある場合は、供養という形で区切りをつけるのもひとつの方法です。